TOP > オリジナル宇治茶の製作で南山城村の茶業活性化を

オリジナル宇治茶の製作で南山城村の茶業活性化を

代表者
伊達 浩憲(経済学部教授)
連絡先:hironori@econ.ryukoku.ac.jp
メンバー
学生・NPO法人「南山城村 茶ECOプロジェクト」
活動地域
京都府南山城村

事業概要

 伊達ゼミでは、2007年より「農商学連携」をテーマに、人口減少と高齢化、財政難などの問題を抱える京都府南山城村の地域経済活性化プロジェクトに取り組んできました。2008年は「やましろ農産物直売市 in竜馬通り商店街」として、山城地域の農産物約50品の直売市を同商店街で開催しました。第2弾の取り組みとなる今回は、南山城村が宇治煎茶の代表的産地であることに着目し、NPO法人「南山城村 茶ECOプロジェクト」と連携のもと、「南山城村産100パーセントの龍谷大学オリジナル宇治茶」製作に挑戦しました。南山城村の煎茶を広くアピールして茶業の振興を図ることとあわせて、学生が栽培、製茶、商品企画、開発、パッケージデザイン、販売まで一貫して携わることで、「地域経済活性化のための臨床能力」を体得することが目的です。

活動内容

伊達ゼミ25名の学生は、製造班、デザイン班、販売班に分かれ活動をスタートしました。何度も茶畑に足を運んだという製造班の西井さんは、「夏の作業は暑さとの戦い。想像以上に重労働でしたが、通うにつれて茶農家さんとの信頼関係を築くことができた」と振り返ります。茶農家の生の声や独自の調査から、煎茶が価格低落や生産量減少に陥る一方で、単価の高い抹茶の原料となる「てん茶」の生産に力を入れていることも明らかになりました。結果、煎茶とてん茶の両方を使用し、それぞれの特長を相乗効果でアピールする「抹茶入り煎茶」の企画、製作にたどりつきました。


抹茶の原料になる「てん茶」にネットをかけると、お茶のうま味が増します


摘採の準備作業をしています

宇治茶業界のイベントに参加し、着物姿で雫をPR
商品のネーミングは、いくつか候補を出した後、街頭調査などの意見を踏まえ、『雫(しずく)』に決定しました。茶葉は抹茶、煎茶ともに南山城村産の一番茶だけを使用し、他社製品の抹茶の含有量が1.5パーセントから2パーセントのところ、『雫』は3パーセントにして、抹茶の味をより引き出す工夫をしています。蓋を開けるとふわりと舞い上がるというきめ細かい抹茶は、石臼挽きによる微細加工を得意とする府内の問屋に委託しました。一煎目は抹茶、二煎目、三煎目は煎茶と、煎じるごとに水色と味の変化も楽しめます。また、「茶農家が丹精こめて育てたお茶を安っぽく見せたくない」を合言葉にデザイン班は、茶筒の蓋を黒にするなど、高級感を盛り込みました。開発に関わった学生からは「できあがった商品は、我が子のような感覚」(デザイン班・前さん)。「ボツになった企画は山ほどありますが納得できる商品になった」(デザイン班・宮城さん)との感想がありました。

販売では、西本願寺御用達の老舗茶舗、美好園での委託が実現しました。店頭販売のほか、販売班による飛び込みでの営業や旅行社への企画持ち込み、各種イベントでのPR活動など独自の販売努力の甲斐もあり、販売2ヵ月で最低販売目標の1000個を達成しました。


乗用型摘採機の操作を習っています


研究機関で「雫」の官能審査をしています

今後の展望

来年の新茶に向けて、秋の製枝作業をしています
 今後は2年生を中心に、「雫」ブランドを継続するとともに、ホテルとのコラボレーションや「雫」の冷茶バージョン、緑茶の二番茶を活用した「和紅茶」の開発などに挑戦します。一滴の雫がどこまで広がりを見せ、南山城村の発展にどこまで貢献できるか。今後の伊達ゼミの動向に御注目ください。

活動の詳細はMaking of Ryukoku-chaのブログを参照

他団体・グループとの連携について:連携可