TOP > 丹後ちりめん、路線バス、農産物といった地域資源活用による活性化策の提案

丹後ちりめん、路線バス、農産物といった地域資源活用による活性化策の提案

PDFで表示する

代表者
辻田 素子(経済学部准教授) 専門分野:中小企業、地域産業、ネットワーク
連絡先
tsujita@econ.ryukoku.ac.jp
主な連携メンバー
経済学部(辻田ゼミ)、自治体、地元中小企業、バス運行業者、農家、商店街
活動開始時期
2008年4月
主な活動地域
京都府京丹後市、京都市南部、静岡県西部地域等

活動の概要

辻田ゼミは、2008年度から京都府京丹後市の全面的な支援を受け、地域の経済や産業に関する調査研究を行っています。ゼミ生が、現地に何度も通うことによって、高齢化や過疎化で悩む地方都市の厳しい現実を学び、都市部に住む若者ならではの視点で、斬新かつ実効性のある提言を行うことをめざしてきました。

取り組んだ主なテーマは、(1)地域経済を支えてきた繊維産業の活性化(2)地方都市における公共交通の在り方(3)農産物のブランド化です。企業経営者へのヒアリング、高齢者へのアンケート、農家での収穫作業、商店街での野菜販売といった多彩な活動を通じて、京丹後市の問題点や課題を浮き彫りにするとともに、魅力的な地域資源の発掘にも努めています。

活動にあたっては、京丹後市の「商工観光課」「丹後の魅力総合振興課」「市民課」の中堅・若手職員らと一緒に調査の方法を考えたり、質問票を作成したりしてきました。参加メンバーが共有するのは、「いろいろな世代や立場の人々がつながることで、地域に役立つヒントや新たな可能性が生まれるだろう」との思いです。

活動内容

京丹後市での活動は、2008年5月の日帰り視察でスタートしました。「まずは京丹後を知ろう」と、6月から7月にかけて、農作業の手伝い、地元商店街主催のイベント支援、路線バスを乗り継いだ観光などを行いました。そうした体験を踏まえ、8月には2泊3日の本格的な現地調査を実施、さらに11月には東京の展示会や大阪の農業祭にも出向き、京丹後市の織物業者や農家がどのようなプロモーション活動を行っているか、顧客の反応はどうか、などを調べました。

● 繊維グループ

京丹後市の繊維産地を再生するためにはどうすればよいのか、いかにすれば意欲的な経営者が増えるのかを考えるため、地元の元気企業をヒアリングしたり、他地域の成功事例を学んだりしています。

● 公共交通グループ

京丹後市内を走る路線バスは2006年秋、運賃が大幅に値下げされました。バスの利用者や運行収入は増えましたが、依然として、空気を運ぶ「空バス」が目立ちます。もっと利用者を拡大するためには、だれが何をすればよいのかを考えています。

● 農業グループ

京丹後市には、丹後米コシヒカリをはじめ、メロンや梨など質の高い農産物が数多くあります。農家や生産組合へのヒアリング、京阪神地域に住む消費者へのアンケートなどを通じて、京丹後ブランドをいかに構築し、都市部に売り込むかを検討しています。

これまでの成果

1年におよぶ活動を踏まえ、2009年1月には関係者を招いた報告会を現地で開き、具体的な提案を行いました。詳細な調査報告書も作成し、広く配付しています。

京丹後市は現在、公共交通グループが提案した高齢ドライバーの免許返納制度の導入を検討中です。また、繊維グループは、第4回政策系大学・大学院研究交流大会(2008年12 月実施)で「京都市長賞」を受賞しました。ゼミ生は、教室で学んだ経済学などを駆使しながら現実社会の課題を分析し、解決方法を探り、政策提言につなげる能力を確実に高めてきたと言えそうです。

「『地方都市の発展がなければもっと格差が生まれ、いずれ修復不可能な事態に陥るだろう』ということを実感できました。この活動を通してたくさんの人と出会い、人間的に大きく成長できたと思います」(繊維グループ学生)

「『地方が抱える様々な問題はいずれも、地元住民自身が解決していかなければならない問題である』と今回の現地調査を通し、私は強く確信しました」(公共交通グループ学生)

地域社会に対して熱い思いをもった人々との交流は、人間性を磨き、社会とのかかわり方を考える絶好の機会にもなりました。

今後の課題・目標

2009年度から京都市南部地域を対象にし、企業をいかに誘致するか、住民はどのような発展を望んでいるのか、といった調査活動を始めました。将来的には地方と都市の交流・連携等のテーマにも取り組みたいと考えています。

他団体・グループとの連携について:連携可