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瀬田を学ぶ 〜講義「社会人類学」の取り組み〜

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代表者
須藤 護(国際文化学部教授) 専門分野:民俗学 徐 光輝(国際文化学部教授) 専門分野:考古学
連絡先
sudo@world.ryukoku.ac.jp(須藤)
xgh@world.ryukoku.ac.jp(徐)
主な連携メンバー
大津市南大萱会館内南大萱資料室
〒520-2144 滋賀県大津市大萱2-18-31 077-545-1696
活動開始時期
2007年9月
主な活動地域
大津市瀬田を中心とした地域

活動の概要

2007年度よりスタートした本学部の「日本学プログラム」として、地域社会や歴史についての学生の関心と理解を深め、異文化相互理解のための基盤をつくることを目的として開講しました。

学生は、地域の人々から暮らしの歴史を語っていただくことにより、過去と現代との身近な地域社会を理解し、文化理解を実践することとなります。講義は地域に密着したものあり、国際的な視点に偏りがちな国際文化学部学生に対して新たな視野を提供しています。

活動内容


大・南大萱展:龍谷大学瀬田キャンパス
RECホールにて

大津市南大萱(みなみおおがや)資料室では、地元の方々による地域の歴史や生活に関する調査・研究を長年にわたって取り組んでおられます。その成果を学生に提供いただくために、15回の講義でそれぞれ講師を招聘し、講義を行っています(1.と14.は国際文化学部の教員が担当)。南大萱資料室で活動されている方々はすでに第一線を退き、手弁当で地域史の研究に取り組んでいらっしゃいますが、非常に内容の濃い授業を展開していただいています。

<参考>2013年度後期講義内容


フィールドワーク:源内峠製鉄遺跡にて

  1. はじめに-身近な地域を学ぶ楽しみ-
  2. フィールドワークイン南大萱
  3. 南大萱という町
  4. 南大萱のむかし-遺跡と古墳-
  5. 南大萱の神社
  6. 南大萱の災害
  7. 琵琶湖の水質・災害・開発
  8. 南大萱の変容-人口と耕地-
  9. 南大萱の変容-瀬田駅開業による町の変化-
  10. 南大萱の変容-農業と農家-
  11. 戦争を語る「学級日誌」
  12. 「学級日誌」が生まれた背景
  13. スケッチにみる南大萱
  14. 祭りを支える若者の集団
  15. 講義を終えて-質疑応答、講義の補足説明など-

JR瀬田駅周辺から琵琶湖岸まで、さらに龍谷大学瀬田学舎周辺にかけての一帯は旧南大萱村といい、古い歴史を有した地域 です。

南大萱からは、邪馬台国の卑弥呼が魏から贈られたと伝えられる銅鏡が出土し、7世紀の製鉄遺跡が残されているなど、古くから開発が進んだ地域であり、長い歴史と伝統に支えられています。近代に入ると東海道線の開通、太平洋戦争、瀬田駅の開業、駅周辺の市街地化、人口の急増等の大きな変化を経験し今日に至っています。そのような地域の歴史や文化、風俗習慣、あるいはこれまで生きてきた「暮らしのあり方や仕事(生業)の経験」などについて、南大萱資料室の方々を中心に話をうかがい、地域社会や親たちの世代の生きてきた時代、および地域と世界のつながりについて理解を深めます。

大萱地区の土地利用の変遷(南大萱資料室作成)

期待される効果

南大萱資料室で活動されている方々は、この地域の遺跡や古墳から出土する資料や古文書等の文献、古地図等を読み解く作業を丹念に行い、500ページ近い『南大萱史』をまとめた経験を持ち、今日なお調査・研究作業を続けておられます。さらに、近現代の生活についてはお年寄りからの聞き書き調査、当時撮影された写真資料、またごく普通に見える景観の中から地域の歴史を読み取る作業を通して、身近なところに奥の深い歴史や生活が存在し、貴重な学習の場になっていることを学生たちに伝えてもらいます。

当該授業を受講する学生も多く、卒業論文・卒業研究に、この地域やテーマを選ぶ学生が出始め、資料室の方々に個別に指導をいただくなど、学生と地域との交流が行われています。

今後の課題・目標

当該科目は、「日本学プログラム」の科目として運営されており、地域の歴史・文化関連授業の充実に大きく寄与しています。本学が京都市および大津市を拠点にしているという立地条件をいかし、「京都学」、「近江学」の構築等、今後も地に足をつけた地域研究を進め、世界に発信していくことを検討しています。その成果を教育に還元できる体制を整えていくためにも当該授業が着実に定着することが重要であり、また地域の方々や県市町村立博物館等の協力を得て、さらなる地域との連携を考えていきます。

他団体・グループとの連携について:連携可