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おばあさんの家にいくことになったエーミールは、一人で電車に乗ります。お母さんからもらった大切なお金をしっかり胸ポケットにしまっていたのに、いねむりをしている間に盗まれてしまう……。あのときむかいに座っていた男が怪しい! 友だちといっしょに犯人をつかまえる計画を練ります。ベルリンを舞台に、少年たちが知恵をしぼって協力し、泥棒をつかまえる探偵物語。
りゅうこくのほんだな<このコーナーでは、絵本・児童文学を研究する生駒幸子先生(短期大学部講師)が、小学生に読んでもらいたい本を月1回のペースで更新します。さて、今月の本は・・・>
みんなはいっせいにちびのディーンスタークを見た。ちびのディーンスタークは、顔をまっ赤にして、はずかしそうにもじもじした。
「そうなんです。わたしは、ちびのディーンスタークくんのことを言ったのです。まったくそのとおりなんです! ディーンスタークくんは、二日間、電話にかじりついていました。自分の義務はなにか、ちゃあんとしっていたからです。そして、ほんとうはやりたくなかったけれど、やったのです。(略)」
(読み聞かせ:2年生以上 一人で読む5・6年生以上)
『エーミールと探偵たち』は、世界的に著名な児童文学作家、エーリヒ・ケストナーの作品です。児童文学には、少年たちの冒険を描いた作品が数多くありますが、そのなかでも傑作だといえます。
ここに描かれているエーミールをはじめとする少年たちは、みな個性ゆたかに描かれています。その個性ゆたかな少年たちが、それぞれの持ち味を生かして、ひとつの目標にむかって協力するさまは、小気味(こきみ)いいくらいにすがすがしく感じられます。大人顔負けの探偵ぶりにも、ドキドキハラハラさせられます。
私がこの作品の好きなところは、少年たちがそれぞれの個性を、理屈ではなく、仲間とのかかわりによって認め合い、受け入れあっているところです。いろんな立ち位置があって、いろんな役割があるなと。
「みんなで協力しましょう」「みんな仲良くしましょう」という徳目(道徳の目標)以前に、子どもたちが遊びのなかで、ケンカや言い合いをしながら、ゆたかな関係性を築いていることを改めて感じさせられます。こんな計画を知ってしまったら、親である私は真っ青になって止めるに違いありません!けれど、大人の気付かないところで、小さな探偵たちがいくつもの事件に乗り出していってくれることを、秘かに願っています。
<紹介者>
専門は幼児教育学、児童文化(絵本・児童文学)。現在は戦中・戦後の絵本史を研究。著書に 『子どもの本のカレンダー』(鳥越信共編/創元社2009)など。「二児の母として子育てのなかで、子どもたちと共に絵本を楽しんできた経験をもとに、絵本を分かち合う喜びや、子どもの絵本体験の意味を語っています」。









