概 要
2006年11月19日、滋賀県の八日市駅周辺で「ガチャ+リンで気ままにめぐる秋の中山道と近江商人屋敷の町並み」というイベントが開催されました。
このイベントは、本学経済学部の伊達ゼミに所属する2〜4年生約40名の学生が集まり、「近江鉄道活性化計画」と銘打ち、地元では「ガチャコン」の愛称で親しまれている同鉄道のサイクルトレイン(自転車をそのまま車内に持ち込める電車)と連動させて実施したものです。「ゼミではずっと産学連携で『自転車を活用した持続可能な地域交通システムと街づくり』の研究をしています。
その取り組みを実践したいと思い、このイベントを計画したんです」とゼミ幹事長を務める高山さん。企画立案をはじめ、細かな地元との交渉や、当日の現地スタッフの取りまとめなどの役目は3年生のメンバーが果たしました。
イベントは近江八幡から豊郷駅間で実施。参加者は近江鉄道の一日フリー切符(550円)を購入し、五箇荘駅か武佐駅で受付すると自転車を無料で借りられ、そこから自転車を電車内に持ち込み、目的の駅で降りて自転車で観光地を巡ることができるという仕組みです。
主要学生メンバー |
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井上由依子さん 経済学部3年生 和歌山県立橋本高校出身 |
北村庸充さん 経済学部3年生 滋賀・近江兄弟社高校出身 |
高山和敏さん 経済学部3年生 石川県立金沢桜丘高校出身 |
桐山卓也さん 経済学部3年生 京都府立久御山高校出身 |
※学年は、活動当時のものです。 |
活動内容
近江鉄道と地元の八日市の商店街に快諾をもらい、計画がスタートしました。まず、レンタル用の自転車の調達とサイクリングコースの選定チームや、商店街の協力を求め、当日限定の駅弁を作ってもらう店探しをするチームなどに分けて活動を開始。
電車と自転車で湖東地域をゆっくりまわれるプランを立て、地元の名所・旧跡を盛り込んだ「ガチャ+リン・マップ」を手作りで作成し参加者に配布しました。「実際に、自分たちで自転車で回って作成しました。疲れた時には、最寄駅で自転車ごと電車に乗せたり、レンタサイクルを駅で乗り捨てたり、自由に自転車観光を楽しんでもらえる工夫をし、2〜3時間で回れるコースをいくつか考えました」(北村さん・桐山さん)。
自転車は、ロードタイプとシティサイクルを、地元自転車店を回って約30台調達。「『すき焼にしむら』で牛丼弁当を作ってもらえることになりました。特産の近江牛や赤こんにゃくを入れたオリジナルの駅弁を販売することができてうれしかったです」と井上さん。
地元の店と共同開発した駅弁は、八日市駅と五箇荘駅で700円(50食限定)で販売、「ほかほか」の駅弁を提供したいと考え、駅に調理ブースを作りました。
当日はあいにくの雨にもかかわらず、60代の女性グループや親子づれなど約20名が参加。駅弁も、観光客はもちろん、地元の人達にも大好評でした。
がちゃこん弁当は、あらかじめ『すき焼にしむら』で調理してもらった具材を温め直してわっぱに詰め、ほかほかを提供した。掛け紙は、学生の手作り。(写真提供:「駅弁の小窓」) |
活動後の感想
「今回のことで地元の人達に少しでも刺激が与えられたのではないかと思います。今まで直接関係のなかった『近江鉄道』と『自転車屋』と『すき焼き屋』を結びつけることができたこともよかったです」(高山さん)。
「イベント後、地元の方々からお礼のお便りをたくさん頂きました。とてもうれしかったです」(井上さん)。
「地域に刺激を与えられてよかった。僕も勉強になりました。今回の経験を生かして来年も紅葉の頃にできたらと思います」(北村さん)。
「やってみるまではどうなることかと思いましたが、いろいろな人達と知り合うことができて良い経験になりました」(桐山さん)。
活動の意義
「将来は地元の京阪電車の宇治線で、中書島駅と宇治駅の間で自転車ツアーを企画したいですね。寺田屋や平等院などの観光資源もたくさんあるので、ぜひいつか実現できたらと思います」とメンバーの高山さんは語ります。
『地域再生』は今、地方では特に重要な課題になっています。そのような状況の中、今回のような学生たちのフレッシュなアイデアと迅速な行動力が、地域再生の新しい風として期待されます。