概 要
龍谷大学に隣接する砂川小学校、この小学校区を、高齢者や障がい者にとっても「安心・安全」な地域にするため、窪田和美短期大学部教授のゼミ学生を中心として活動しました。
道路の勾配や段差、車椅子利用の可能性、白杖を使った歩行等を念頭に置いて、実際に巻き尺で計測し、車椅子を使って現地を歩くとともに、地域住民へのヒアリング等を通じて、その問題点と課題を発見し、地域住民への発信を行ないました。
活動の目的
大学生にとって、広い視野から専門領域を学ぶことは重要なことです。とりわけ福祉を学ぶ学生には、健常者の視点だけでなく、高齢者や障がい者、あるいは子どもたちの立場に立って、現実社会から学んで欲しいことがあります。
その実践活動として「砂川地域のまち歩き―地域福祉の視点から安心・安全をめざして―」というプログラムを毎年継続してきました。このプログラムを実践する目的は二つあります。
まず一つには、学生が問題発見能力を習得することです。この砂川地域は、多くの学生にとってこれまでほとんど知らなかった町であり、どのような方々が暮らしておられるのかもわからない町です。
このように全く先入観のない町を歩くことを通して、新しい発見をして欲しい、まさにバリアフリーという視点から気づいて欲しいのです。
そして問題があるとすれば、それはどうすれば解決に繋がるのか、そのための情報はどこへ行けば入手できるのか、グループで討議したうえ、自分たちで行動すること、それが現実社会に迫るということです。
もう一つは、問題解決に至るプロセスを学ぶことです。たとえ問題が発見できたとしても、それは自分たちだけの勝手な思いこみに過ぎないかもしれない。その同意や反証を得るため地域の方々に学生たちの考えを話してみるというインタビュー形式による実践を試みることです。
活動内容
まち歩きを行なったA〜Fグループの内、Bグループの報告事例
活動の成果
今年度は、ささやかな成果もありました。ある交差点で見かけた破損状態の点字ブロックが、学生の連絡を通じて改修されました。一般市民からの自主的な連絡によって改善され、視覚障がいの方が安心して歩くことに繋がりました。
学生にはこのプログラムに参加することを通して、生活者の視点で町を眺めてみるという態度が身についたようです。ゼミ生のなかには、自分の住む地域を対象に、この手法を活用して卒業論文をまとめた学生が現れました。
また、企業の就職面接時にまち歩きの経験を語って好印象を得た学生もいます。ほんの小さな試みに過ぎませんが、この経験を通して一つのテーマで地域社会をみつめることは、問題発見からその解決に向かう考え方を養うことに繋がったと確信します。