- 代表者
- 筒井 のり子(社会学部教授)
- メンバー
- 地域住民、関係団体、自治体、学生
- 活動地域
- 滋賀県大津市
少子高齢化が進行する中、人々の価値観の多様化、女性就労の一般化、核家族化の進展等により家族のあり方や地域社会が変化しています。人間関係の希薄化が進んだ地域では、高齢者の閉じこもり、子育ての孤立化など新たな課題が明らかになってきています。
このような市民一人ひとりの個別の課題に対応するには、市民相互の助け合い支え合いによる活動の展開が不可欠です。そこで、市民、関係団体、事業者、社会福祉協議会、行政がそれぞれの役割を担いながら連携し、これからも地域で安心して暮らしていけるまちづくりを進める必要があります。
これらを踏まえ、大津市では、市民一人ひとりの生活の質が向上し、夢や希望を持つことができ、自分らしくいきいきと生きていけるようにするため、地域福祉計画を策定することになりました。
その策定にあたっては、まず地域の福祉課題を明らかにし、市民のニーズを反映した計画にするため、市民意識調査の実施と地域福祉をテーマにした市民懇談会が開催されることになりました。
大津市から依頼された筒井教授は、ゼミの学生とともにこの調査活動に参加し報告書を作成しました。この報告書がベースとなって2007年3月、「大津市地域福祉計画 おおつハートフルプラン」が策定されました。
幅広く市民の意見・考えを聞くために、市民懇談会とヒアリング調査の2通りの方法が実施されました。
地域福祉を話し合う会
市民が集まりワークショップ形式で議論を進め、市民等が抱えている福祉課題を明確にするとともに、地域福祉について話し合う機会のきっかけづくりとして「学区単位」と「市民有志型」で実施しました。本学学生も約40人が参加しています。
学区単位
地域によって抱えている問題は様々であるため、学区単位で開催しました。そこに暮らす住民の視点で福祉課題の抽出とその解決策について、各2回の地域福祉懇談会を開催し、延べ1,908人が参画、12,378件の意見が出されました。
市民有志型
NPOで活動する人、福祉専門職、子育て中の人、大学生など公募で集まった31人が参画し、特定の地域だけに限らず市全体の中で取組むべきテーマについて、5回のワークショップを行い様々な視点を加えて話し合いました。
市民意識調査
地域福祉を話し合う会などの懇談会へ参加することができない介護中や子育て中の人、障がい者などの自宅に、本学学生が調査員として直接訪問し、その人たちが抱えている福祉課題について意見を聴収しました。40人以上の学生が参加し、旧大津市内の各学区の266名からヒアリングを行いました。
この調査報告により、市民の意見や考えが充分に反映された地域福祉計画が策定されました。また、学識経験者、関係団体、NPO法人、一般公募の市民等、総勢25人の策定委員会に、本学学生2人が選ばれ、計画策定に携わりました。
地域福祉の現場にふれる「ザ・百聞は一見にしかず合宿」
調査に参加し、地域福祉の現実にふれる貴重な経験を得た学生が、他の学生たちにも現場を体験してほしいと考え、地域福祉学科1~4回生を対象に合宿を企画しました。
合宿の目的は、地域福祉に携わる方々から、フィールドで福祉に対する思いや活動するうえで大切にしていること、学生に伝えたいことや地域における役割等、大学の講義だけでは得られないことを学ぶことです。2009年夏は学生24名、卒業生6名が参加し、有意義な時間を過ごしました。
他団体・グループとの連携について:連携可