- 代表者
- 松原 廣志(国際文化学部教授)
須藤 護(国際文化学部教授)
- メンバー
- 大津市南大萱資料室(松田庄司、国松巖太郎、古川久夫、古川義一、深田恒太郎、高橋三喜男、吉田清子、内田喜代子、奥村早智子、本郷豊子)、および学生
- 活動地域
- 大津市瀬田を中心とした地域
大津市南大萱資料室では、地元の方々による地域の歴史や生活に関する調査・研究を長年にわたって続けています。その成果を学生に提供していただくために、国際文化学部では14回のリレー講義をお願いしています(初回と最終回は本学部の教員が行ないます)。南大萱資料室で活動されている方々はすでに第一線を退き、手弁当で地域史の研究に取り組んでおられますが、非常に内容の濃い授業を展開していただいています。
その講義は以下のとおりです。(1)身近な地域を学ぶ楽しみ (2)南大萱という町 (3)南大萱の昔(遺跡と古墳) (4)南大萱の神社 (5)琵琶湖と南大萱の災害 (6)南大萱の風俗・習慣 (7)南大萱のお店今昔(瀬田駅開業による町の変化) (8)南大萱の住まいと生活様式 (9)戦中「学級日誌」 (10)「学級日誌」が生まれた背景 (11)南大萱の農家 (12)スケッチにみる南大萱 (13)祭りを支える若者の組織 (14)まとめ(フォーラム「瀬田を語る」)。
南大萱地区は琵琶湖東岸から瀬田駅かいわい、龍谷大学瀬田キャンパスの付近までの領域を有し、学生たちの毎日の通学経路にあたっています。この地域は、古代においては国政の中心であった時期があり、また国内外との文化交流に寄与した地域でした。その後も絶えず時代をリードし、近世においては灌漑事業を進めることで瀬田丘陵の開拓をなしとげました。その結果、耕地及び人口の増加がみられ豊かな農村地帯が広がっています。近代に入ると東海道線の開通、太平洋戦争、瀬田駅の開業、駅周辺の市街地化、人口の急増等の大きな変化を経験し今日に至っています。
南大萱資料室で活動されている方々は、この地域の遺跡や古墳から出土する資料や古文書等の文献、古地図等を読み解く作業を丹念に行ない、『南大萱史』という地域史を刊行されました。さらに、近現代の生活についてはお年寄りからの聞書き調査、当時撮影された写真資料、またごく普通に見える景観の中から地域の歴史を読み取る作業をとおして、身近なところに奥の深い歴史や生活が存在し、貴重な学習の場になっていることを学生たちに伝えています。その手段のひとつとして、現在行っている「瀬田を学ぶ」という授業のほかに、南大萱資料室で作成した資料の展示をRECホールにて定期的に公開しています。また卒業研究にこの地域やテーマを選ぶ学生が出はじめ、資料室の方々に個別にご指導をいただくなど、学生と地域との交流が行なわれています。
国際文化学部は2年次以降、(1)国際共生コース (2)芸術・メディアコース (3)地域文化コース (4)語学コースの4コースに分けています。学生は希望するコースに所属し、各分野の専門的な知識を習得し、研究活動ができる仕組みです。当該科目は地域文化コースのうち、「日本学」の科目として運営されており、地域の歴史・文化関連授業の充実に大きく寄与しています。本学が京都市および大津市を拠点にしているという立地条件を生かし、「京都学」、「近江学」の構築等、今後も地に足をつけた地域研究をすすめ、世界に発信していく方針です。その成果を教育に還元できる体制を整えていくためにも当該授業が着実に定着することが重要であり、また地域の方々や県市町村立博物館等の協力を得て、さらなる地域との連携を考えていきます。
他団体・グループとの連携について:連携可