TOP > 亀岡カーボンマイナスプロジェクト 〜マルチパートナーシップ型の公共政策に関する実践的研究〜

亀岡カーボンマイナスプロジェクト
〜マルチパートナーシップ型の公共政策に関する実践的研究〜

PDFで表示する

代表者
富野 暉一郎(LORC第2研究班長〈ユニット4・ユニット長〉、政策学部教授)
連絡先
TEL:075-645-2312(事務局)
WEB:http://lorc.ryukoku.ac.jp/
主な連携メンバー
亀岡市、立命館大学地域情報研究センター、京都学園大学、京都炭素貯留運営委員会、クルベジ育成会、ほづ竹林整備協議会など
活動開始時期
2008年11月
主な活動地域
京都府亀岡市

活動の概要

龍谷大学地域公共人材・政策開発リサーチセンター(LORC、16ページ参照)では、マルチパートナーシップ型の公共政策に関する実践的研究活動を実施しています。第2研究班ユニット4は、亀岡市、立命館大学、京都学園大学、地元関係機関などと連携し、亀岡カーボンマイナスプロジェクトに取り組んでいます。

亀岡カーボンマイナスプロジェクトは、2008年11月から亀岡市内の保津町の農地を中心に、放置竹林から作られたバイオ炭を堆肥に混ぜて散布する「炭素隔離農法」の実証実験を行っています。石油など化石燃料の利用により二酸化炭素が急速に増加し、地球温暖化が大きな問題となっていますが、炭素隔離農法によって炭素を土に埋めることで、大気中の二酸化炭素を実質的に削減していくプロジェクトです。更に地球を冷やす農作物「クルベジ®」を地域ブランドとして育てることで、若手農業者の就業を促し、地域の活性化をめざしているプロジェクトです。

プロジェクト開始から6年目を迎え、プロジェクト成果のいくつかが地域の中で実を結びつつあります。一つは、クルベジ®に取 り組む農家がクルベジ®育成会を2012年8月に結成し、クルベジ®の販売を自律的に行っています。二つ目に、炭素隔離量を基準 に基づいて認証していく「京都炭素貯留運営委員会」が発足し、自然科学的知見に基づいた二酸化炭素削減効果を認証していま す。こうした取り組みが評価され、2013年2月13日に開催された「低炭素杯」の地域活動部門にて環境大臣賞や、2014年2月1 日・地域づくり総務大臣表彰<地方自治体表彰>を受賞しました。


地域での循環イメージ(クルベジ®の販売や低炭素杯の受賞)

活動内容

プロジェクトとLORCのかかわり

LORCはプロジェクトの中で、①より多くの市民が温暖化対策に主体的に参加できるよう、小・中学校における食育・環境教育の推進、②クルベジ®に取り組む農家を支援する、企業CSRとの連携に基づいた都市・農村交流を推進、③炭の原料となるバイオマス現存量調査を担当し、調査対象のデータ整備行い政策情報に提供を主に担っています。

1. 食育・環境教育の展開


LORCで開発した教科書とDVD教材。写真は教育研究所での教職員向け研修の様子


クルベジ®シール

LORC食育環境教育活動では、これまでの実践活動の経験と反省点をふまえ、学校教育現場で活用できる教材として、DVD「クルベジ博士の大発明」と「カーボンマイナスの教科書」に開発を行いました。教材では、地球温暖化の現状、炭素の循環、バイオ炭ができる仕組み、農業による地域活性化などのテーマをわかり易く理解できるようにまとめています。こうした教材が教育現場で活用され、地域とより密接に結びついたプロジェクトになるために、2012年から亀岡教育研究所にて、カーボンマイナスプロジェクトを素材に教職員向け研修を行い、亀岡市での環境学習に役立てられ、地域連携を深めています。

2. 企業、市民、農業者との連携を作る地域円卓会議の開催

クルベジ®を販売する時に貼りつけるクルベジ®シールには、協賛企業の名前が入っています(右写真)。こうしたクルベジ®を応援する企業や、地域での理解を深めていくために、農業者、企業、市民、大学などプロジェクトにかかわるステークホルダーを集めた地域円卓会議を2013年9月1日に開催しました。

3. 放置竹林対策の実践

全国的にも地域課題としてあげられる放置竹林をバイオ炭の原料とすることで、地域課題の解決と結びつきながら地域バイオマスの有効活用もねらっています。これにはより身近なバイオマスを活用することで移動による二酸化炭素の削減が期待できるほか、より地域社会が脱温暖化活動に取り組み事ができる社会システムの形成をねらっています。LORCでは、放置竹林のバイオマス量調査や竹林伐採に関する環境技術調査やLCA評価を行い、地域で進める放置竹林対策事業を政策情報分野で支援しています。


2012年度に亀岡市保津町で実施した放置竹林対策。 伐採前と伐採比較。右端は伐採に使用した機材

今後の目標・課題

大学発ではじまった研究プロジェクトですが、行政の政策化、農業者の組織、認証団体の設立など、プロジェクトに関わる様々なステークホルダーが育ってきました。今後は、こうしたステークホルダー間の連携をうまくコーディネートしていく事が、プロジェクトを育てていく課題でもあります。LORCでは、2013年9月に地域円卓会議を開催し、新しいステークホルダーを加えながら地域ブランドづくりをスタートさせます。

他団体・グループとの連携について:連携可