消防職員・消防団員のメンタルヘルス面を地域で支えるための基礎研究
〜湖南広域消防局との「総合的組織的連携に関する協定」に基づく消防 関係者のメンタルヘルスに関する共同研究〜
- 代表者
- 栗田 修司(社会学部教授) 専門分野:臨床ソーシャルワーク・メンタルヘルス
- 連絡先
- skurita@soc.ryukoku.ac.jp
- 主な連携メンバー
- 滋賀県湖南広域消防局
- 活動開始時期
- 2004(平成16)年から発展的に継続中
- 主な活動地域
- 湖南広域行政組合圏(草津市・守山市・栗東市・野洲市)
活動の概要
凄惨な災害に挑む消防職員の心的外傷後ストレス障害(PTSD)予防を目的として始まった湖南広域消防局との協定に基づく 共同研究です。現在は、消防職員の不安と歩数の関係の研究を継続しています。
また、東日本大震災を経て、災害時に凄惨な状況を経験する地域の消防職員・消防団員の心の支えも大切であること、被災により死亡した方々に対する弔いという宗教行為が重要であることなどから、本年度は、消防職員・消防団員と寺院僧侶を対象に現状把握の基礎調査を実施します。
これら一連の研究を通じて、地域社会におけるメンタルケアの充実をめざしています。
活動内容
研究結果をまとめた報告書
メンタルヘルス・シンポジウムの様子
これまでは、公務員である消防職員(消防隊員や救急隊員など)のPTSDの予防を目的として、重大な災害の消火救急救助活動後の消防職員の心の状態把握や、その心の負担を軽減するグループミーティングの効果的なあり方などを研究し、その結果を報告書にまとめました。
2012年11月10日には、メンタルヘルス・シンポジウムとして「災害時における心のケア〜惨事ストレス対策の構築に向けて〜」を滋賀県の野洲文化小劇場にて開催しました。
共同研究の成果を研究代表者(栗田教授)が報告した後、南相馬市復興企画部危機管理課の大和田邦晃氏が「東日大震災における災害救援者について」の講演、さらに本学社会学部の村井龍治教授(専門分野:障害者福祉)のコーディネートのもと、「災害救援者を地域で支えるには」のテーマで、南相馬市消防団副団長の長澤初男氏、湖南広域消防局東消防署主幹の小嶋貞男氏、京都自死・自殺相談センター代表の竹本了悟氏がパネラーとして報告し、消防庁消防・救急課長の横田真二氏がコメントされました。当日は、約250名の参加者があり、マスコミを通じて報道されました。
現在、龍谷大学からは、代表者(栗田教授)と村井教授のほか、社会学部の安西将也教授(同:老人保健)、井上辰樹教授(同:運動生理学・公衆衛生学)が参加し、湖南広域消防局からの研究員の方々と共同研究を実施しています。
期待される効果
現在は、消防職員の不安と歩数の関係の研究と、公務員としての消防職員及び地域のボランティアである消防団員のメンタルケアに関する研究を通じて、消防職員の不安を簡易に発見する方法を打ち立てることや、災害時における迅速なメンタルケアの体制を構築することが期待されます。
今後の目標・課題
東日本大震災以来、災害に対する認識が住民の中に高まってきてはいるものの、災害時に活躍する消防職員や消防団員のメンタルヘルスへの対応が十分になされていないという課題があります。本研究によって、災害時においても、地域の住民の方々や、消防職員及び消防団員の方々のメンタルヘルス面を支えられる安心・安全・快適な地域社会の実現を目標にしています。
受賞・助成採択実績
- 総務省消防庁受託研究事業
消防防災科学技術研究推進制度(競争的研究資金制度)2005年度・2006年度 - 龍谷大学社会学部共生社会研究センター
プロジェクト研究2011年度・2013年度 - 龍谷大学社会学部共生社会研究センター
シンポジウム2012年度
他団体・グループとの連携について:連携可(他団体との連携は検討中)