瀬田を学ぶ~講義「社会人類学」の取り組み~
- 代表者
- 須藤 護(国際文化学部教授) 専門分野:民俗学
徐 光輝(国際文化学部教授) 専門分野:考古学
- 連絡先
- sudo@world.ryukoku.ac.jp(須藤)
xgh@world.ryukoku.ac.jp(徐)
- 主な連携メンバー
- 国際文化学部、大津市南大萱資料室
- 活動開始時期
- 2007年9月
- 主な活動地域
- 滋賀県大津市瀬田地区
大津市南大萱資料室は、地元の方々による地域の歴史や生活に関する調査・研究を長年にわたって継続しています。そこで、その成果を学生に提供してもらおうと国際文化学部では、「社会人類学」の講義に資料室から講師を招聘しています。
南大萱資料室で活動されている方は、瀬田地区の今昔や生活文化に造詣が深く、その知恵を活かせるほか、学生は学舎のある瀬田地域について、より一層理解を深めることができる機会となっています。
JR瀬田駅周辺から琵琶湖岸まで、さらに龍谷大学瀬田学舎周辺にかけての一帯は旧南大萱村といい、古い歴史を有した地域です。
南大萱からは、邪馬台国の卑弥呼が魏から贈られたと伝えられる銅鏡が出土し、7世紀の製鉄遺跡が残されているなど、古くから開発が進んだ地域であり、長い歴史と伝統に支えられています。近代に入ると東海道線の開通、太平洋戦争、瀬田駅の開業、駅周辺の市街地化、人口の急増等の大きな変化を経験し、今日に至っています。そのような地域の歴史や文化、風俗習慣、あるいはこれまで生きてきた「暮らしの在り方や仕事(生業)の経験」などについて、南大萱資料室の方々を中心に話を伺い、地域社会や親たちの世代の生きてきた時代、及び地域と世界のつながりについて理解を深めます。
<講義内容>
大・南大萱展:龍谷大学瀬田キャンパスRECホールにて
フィールドワーク:源内峠製鉄遺跡にて
- はじめに-身近な地域を学ぶ楽しみ-
- フィールドワーク 南大萱
- 南大萱という町
- 南大萱の遺跡
- 南大萱の神社
- 南大萱の風俗と習慣
- 南大萱の住まいと生活様式
- 南大萱の今昔
- 南大萱の農耕と農家の暮らし
- 戦中「学級日誌」のこと
- 「学級日誌」が生まれた背景
- 琵琶湖と南大萱
- スケッチにみる南大萱
- 祭りを支える若者たちの組織
- 座談会:南大萱の女性の暮らし今昔
南大萱資料室は、近現代の生活についてはお年寄りからの聞き書き調査、当時撮影された写真資料、またごく普通に見える景観の中から地域の歴史を読み取る作業をとおして、身近なところに奥の深い歴史や生活が存在し、貴重な学習の場になっていることを学生たちに伝えてくれます。卒業論文・卒業研究にこの地域やテーマを選ぶ学生も増え、資料室の方から個別に指導いただくなど、学生と地域との交流が生まれています。
大萱地区の土地利用の変遷(南大萱資料室作成)
当該科目は、地域文化コース「日本学プログラム」の科目として運営しており、地域の歴史・文化関連授業の充実に大きく寄与しています。本学が京都市及び大津市を拠点にしているという立地条件を活かし、「京都学」、「近江学」の構築など今後も地に足をつけた地域研究を進め、世界に発信していくことを検討しています。
その成果を教育に還元できる体制を整えていくために、この講義が着実に定着することが重要であり、また地域の方々や県市町村立博物館等の協力を得て、さらなる地域との連携を考えています。
他団体・グループとの連携について:連携可